8月2日、議会の全員協議会が開かれ、大井総合支所の再整備について市の説明がありました。これから設計に入る建物の概要をどのようにするか、今になってようやく決まったのです。
3階建てになる総合支所の1階部分は市の窓口業務。2階、3階部分は、アリーナや工作室なども兼ね備えた児童センター、多目的ホールと保健センター機能を複合化するようです。
市民アンケートで要望の多かった3つの機能が盛り込まれたようですが、実際にどのような運営が行われるのかはもう少し検証が必要です。
たとえば多目的センターと保健センターは同じスペースで利用するようですが、調理室はないようです。従来は活習慣病を予防する調理実習を行うほか、乳児をもつ保護者を対象にした離乳食講座やパパママセミナーで沐浴をするなどの利用が行われてきました。今は産科で行うから必要ないというのが市の考え方のようですが、そのような実習を通じて同じ年齢の乳児をもつ保護者同士が知り合い仲間を作ることで孤独になりがちな子育てを精神的に支えているという面もあったかと思います。 またダンスや講演会などで使うスペースを、寝転がったりハイハイする乳児が利用するとき、どのような使い分けをするのかも疑問に思います。
保健センター機能とは名ばかりで、単なる検診や予防接種の場所にならないかと心配しています。
これからは、ハード面とあわせ、ソフトの充実をしっかりとチェックしていく必要がありそうです。
公共施設再整備
現在、来年度のふじみ野市の当初予算を決める3月定例会が開かれています。
その初日に行われた市長の市政方針の中で、市長はこのような発言をしています。
「(前略)我が市の平成23年度の子ども手当の総額は国費を含めて25億円、市の負担は2億5千万円に上ります。「もし、この25億円をふじみ野市が自由に使えれば…」と考えたらどうでしょう。学校施設の大規模改造工事も物理的な問題を度外視すれば2年間ですべての学校の工事が完了するでしょうし、老朽化する保育所や児童館、学童保育室などの建て替え、すべての学校や保育所などにエアコンを設置することも夢ではなくなります」
要するに、子ども手当のお金で、子ども関連の設備投資ができればいい。逆に言えば、そのお金が使えないから、思うように進まないということのようです。
さて、この子ども手当の財源。実は全くあてもなく行ったものではなく、財源確保のために子ども手当と引き換えに扶養控除を廃止(つまり増税)しました。
扶養控除というのは所得の高い人は所得税や住民税を下げるという効果があるのですが、元々税金を払う必要のない低所得者には恩恵のない仕組みです。これこそ高所得者優遇。
その扶養控除を廃止して、子どものいる家庭に一律に配分したのです。そうすれば今まで控除の恩恵のなかった非課税世帯にいきわたります。逆に所得の高い人は子ども手当を受け取っても、扶養控除廃止による増税額の方が大きいため、かえって自由に使えるお金は減ったのです。子ども手当を高所得者にも払うバラマキという批判もありましたが、実情は違います。
それはさておき、扶養控除廃止だけでは子ども手当の全額には足りなかったので、前政権のときに行っていた児童手当の地方負担部分をそのまま引き続き負担してもらうようにお願いしました。これが地方の反発を招いたのはマスコミの報道の通り。
といっても、実は住民税の税収も扶養控除の廃止で増えているのですから、前政権のときよりは負担が軽いはずなのですが、とにかく払いたくないという自治体が出てきています。
高畑市長も、実は負担したくない人の一人であるようです。
でも、この話。
私たち子育て世代は、子ども手当がもらえる前提で増税されているのです。
それに保育所の建て替えや学校の耐震補強工事は、国が子ども手当を出そうが児童手当のままだろうが、本来市がそれとは別に責任を持ってやらなければならない話。どうして、子どもを持つ世帯だけが狙い打ちにされるのでしょう。
もともと日本は年金や医療費など、福祉予算のほとんどが高齢者のために使われていて、子どもに使う予算の割合が少ない国です。それに今の高齢者が若かった頃はまだ少子高齢化ではなかったので、年金や健康保険の保険料も今よりずっと安かったのです。
ところが今の現役世代は、高齢化社会を支えるために所得税や住民税を払い、毎年のように社会保険料も値上げされています。せめて、子どもを育てている家庭にはそのいくらかを配分しようというのが子ども手当の意味。
そんなものは必要ない、それよりも公共設備投資に使いたいというのは、あまりにも子育て世代に冷たい話のように聞こえます。
昭和49年に建設された消防本部も老朽化し、建て替えが必要なことは以前から言われていました。また平成18年度には(財)消防化学総合センターが調査を行い、消防本部(中央消防署)と大井分署をひとつにまとめ、その中間点である「役場入口」に新しい消防本部を移転することが望ましいという結論が出ていました。
その後、老朽化している大井総合支所を建て替えるにあたり、その場所の一部を利用して消防本部を移転する話が、急きょ決定したのです。
この決定に対して、いくつか問題があります。
ひとつは、消防本部移転について地元住民に事前の説明もなく、関連予算が議会に提出され決定してしまったこと。
また建て替え後の総合支所の機能や消防本部移転に伴う周辺整備について、具体的な計画が提示されていないことが挙げられます。
事前に説明がなかったことについて、市長は市民の代表である議会の承認を得たので問題ないという説明をしています。また老朽化している消防本部の建て替えを早急に行う必要があること、消防本部の用地確保のため隣接する土地の地権者の了承を得ないまま住民への説明はできなかったことも理由になっているようです。
確かに行政手続きとして、議会が予算を承認した以上、それを実行に移すことは一向に問題はありません。
しかし周囲の住民が、消防車の音がうるさくて生活環境が一変するのではないか、総合支所の機能が縮小されて不便になるのではないかという不安を抱えたまま消防本部が移転することは、住民にとっても、また市民の命と安全のために働く消防署職員にとっても歓迎すべきことではないでしょう。
老朽化は以前から分かっていたことなのに、なぜ住民との十分な話し合いの時間を持たないまま結論を急いだのか、その政治手法としては疑問が残ります。
市長のマニフェストには「行政や議会が市民の知らないうちに、何でも勝手に決めていく時代ではありません」とありますが、同じ市長がやっていることなのかと不思議に思うほどです。
さらに、再整備の中身の問題。
総合支所の機能については話が長くなるので改めて書きたいと思うのですが、消防本部があの場所に来ることもさまざまな不安があります。
現在の総合支所から川越街道を越える道路は所沢方面からの抜け道になっていて、朝夕はかなり渋滞します。ダンプなどの大型車も迂回路として通る上、バス路線にもなっています。道幅は決して広くはなく、右折車が1台でもあると後続車が詰まるような道路。それでもそのまま直進すると東上線をアンダーパスで抜けられるので、交通が集中するのです。
その場所に消防本部を移し、川越街道の東側、つまり人口が集中するふじみ野駅周辺をカバーすることになるのでしょうが、果たしてそれで大丈夫なのかという心配があります。
救急車到着までの時間は延びることが当然考えられますし、マンションの多いその地域で、はしご車の出番もあるかもしれません。あの道路を大きなはしご車がスムーズに出動できるのかという懸念もあります。
市長は、専門機関の調査で大井総合支所入り口周辺が最適という報告があったことを根拠に、この場所に移転するのが合理的という説明を繰り返しています。
しかし住民がその報告書を情報公開したところ、最適とされた場所は川越街道に面した「大井総合支所入口」交差点の付近、つまり大井サティ近くの交差点の辺りを指していることが分かったのです。その交差点からなら、ふじみ野駅周辺やその東側に行くにも道路は整備され、道幅も十分に広く、最適地とされたことも納得がいきます。
本当にあの場所でよかったのか、議会でどういう議論があったのか、全く説明がありません。道路のことは誰も指摘しなかったのでしょうか。
私は、消防本部の建て替えが必要であること、また用地を確保するためにやむなくあの場所を選んだこと自体は反対しません。しかし専門機関が最適としたのとは違う場所を移転先として決める以上、再度本当にあの場所でいいのかという調査をやり直し、必要であれば道路整備の計画もセットで予算化するべきだと考えます。
個人的な考えではありますが、大井総合支所から川越街道を抜ける道として、行き止まりになっている桜通りの南側から給食センター跡地の横を通り、一方通行でふじみ野駅に抜ける道路の整備も視野にいれるべきではないかと思っています。
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