6月30日、ふじみ野市や周辺地域の医療的ケア児と保護者の団体mamacareのみなさんと意見交換会。小宮山泰子衆議院議員、埼玉県議会議員4名も同席しました。

医療的ケア児は、生活するうえで「たんの吸引」や「経管栄養」など医療のサポートが必要な子ども。
新生児医療、小児医療が発達し、先天的な障害や出産時のトラブルなど以前なら救えなかった子が医療の力で救われ、やがて家庭で生活できるようになっています。
特に医療資源が充実した都市部やその周辺で急速に増えていて、ふじみ野市も例外ではありません。

医療的ケア児とその家族が困っていること、要望はいろいろあるのですが、今回は特に就学の問題に重点をおいてヒアリング。埼玉県では普通の小中学校に看護師を配置していないので、医療的ケア児は県立の特別支援学校に通うことになります。そこで県議にも状況を理解してもらうため、同席してもらいました。

家族らが抱えている困難と課題について、記録を兼ねていくつかピックアップします。

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1.特別支援学校の看護師・看護教員の配置

特別支援学校へはスクールバスで通うのですが、看護師が同乗していないため必要な子には保護者が付き添って通学中のケアを行う必要があります。また看護師がケアしているのは校内にいるときに限られるため、校外学習などには親が同行しなければなりません。

さらに埼玉県のガイドラインでは看護教員ができる医療的ケアの中に人工呼吸器の操作は含まれていません。そのため人工呼吸器が必要な子の場合は、親が常に近くで待機していなければなりません。

スクールバスや校外学習に看護師が同行できるように看護師を増員する、看護師ができるケアの範囲を広げるなどガイドラインの見直しが必要です。

本来、ガイドラインは満たすべき最低限の基準のはずですが、逆にガイドラインにないからできないという規制(言い訳?)になっているのでは?という指摘もありました。


2.就学相談と県教育委員会の壁

医療的ケア児の状態は子どもによって違います。意思疎通ができる子、できない子がいますし、身体障害がある子も、ほぼ寝たきりの子がいます。我が子は学校で学ぶことができるのか、どの学校で受け入れてくれるのか、保護者にとって大きな関心事です。

就学に関する窓口は市教育委員会になりますが、特別支援学校の管轄は県教育委員会です。市教育委員会を通して県教育委員会とのやり取りを行うため、連携が悪いと就学先選びにトラブルが起きることもあるそうです。

また就学相談は入学の前の年度に行いますが、市教育委員会に相談に出向いたり、あるいは特別支援学校に見学や相談に行くことが必要です。しかし医療的ケア児を連れての移動は困難が伴う上、体調が悪く指定日に行けないこともあります。就学に困難が伴う子の相談や見学については、前年度ではなくもっと前から時間をかけてほしいという声がありました。

医療的ケア児に限らず他の障がいを持つ子にも言えることですが、教育委員会が市内に特別な支援が必要な子がいることをもっと早い段階で把握するためには、障害福祉を所管する部門との連携が必要です。


3.訪問看護、ヘルパーの制限

医療的ケア児が訪問看護を受ける場合、健康保険法により看護師は「居宅において」看護しなければなりません。つまりスクールバスで通学する際に保護者の代わりに訪問看護師に同行してもらうとか、外出時に保護者の運転する車に医療的ケア児と一緒に看護師に乗ってもらうことはできません。
またヘルパーは医療的ケア児の移動支援として車に乗せることはできますが、原則、保護者は乗せることはできません。
これらの制限を少し緩めるだけで、子どもと保護者の外出がかなり改善されます。

またヘルパーが支援できるのは、子どもに対してだけです。しかしヘルパーは医療行為はできないため、ヘルパーに来てもらっても保護者がたんの吸引などケアしている間は近くで見ているだけ。
ヘルパーが保護者がやっている洗濯や買い物などの家事をやってくれれば保護者は子どものケアだけやればよく、負担が減るのですが、いまはそれが許されていません。


4.手続きの難しさ

上に書いてあるように、医療的ケア児を抱えていると外出することが難しくなります。つまり手続きや相談のため市役所に行くことすら、大変なこと。郵送やメールで手続きできることを増やしたり、職員が訪問して手続してくれるとかなり負担が減るようです。

また医療的ケア児が関わるのは、医療機関はもちろんのこと、保健所、児童相談所、市の子育て支援、障害福祉、そして教育委員会と、複数にまたがっています。
一方で従来にはない新しい障害であることや保護者は子どもと二人きりで過ごすことが多く、どこに何を相談すればいいか分からないことも多いようです。

国では、行政機関や医療、介護の支援に結び付ける重症心身障害児者等のコーディネーター配置を進める動きがあるようです。保護者が自分で調べなくても1カ所に相談すれば制度が利用できるよう、コーディネーターの配置を期待したいと思います。


他にもいろいろと話を伺いましたが、県、国と連携して少しでも子どもと保護者の不安や負担が軽くなればと思います。